Chihi’Log

物語の主人公はいつだって自分だ

優しい愛

 

兄が結婚式を挙げた。

 

さいころから私の前を歩いてくれていた兄。学生時代はよく喧嘩をした。私たち兄妹はタイプが全く違ったので、そのせいかぶつかることが多かった。でも、嫌いになることはなく、むしろ大尊敬していた。勉強もせず遊んでばかりだった私に対して、兄は塾でも学校でも優秀だった。自分の力で良い大学に進学し、自分の判断を信じ就職し、地元を離れていった。

 

兄との思い出はすごく多いなと思うし、私はよく人に兄の話をしてしまう妹である。兄には色んな話を聞いてもらい、沢山のアドバイスをもらって生きてきた。

 

 

「伝えたいことは言葉にしないとなぁ」そう思い、生まれて初めて兄に手紙を書いた。もうこんなことはないかもしれないと思うとすこし寂しくもあり。

 

 

披露宴の途中でお嫁さんがお色直しへ行ったとき「今だー!」と思い、兄へ手紙を渡しに行った。涙が溢れて止まらなかった。こんなに泣くのか!と思うほど号泣した。「生まれて初めて書いた、結婚おめでとう。」と言いながら手紙を渡す私に「ありがとう。」と兄は何度言っていたかわからない。

 

 

その後、私が席へ戻ると兄がお色直しをすると司会からアナウンスが流れた。「お色直しのエスコートは感動をくれた妹さん!お願いします!」とアナウンスが続く。なんだか会場がざわついた。そして司会から一言「妹さん、手紙のタイミングはここだったー!ちょっと早かったー-!!」。兄も、会場のみんなも、私自身も笑うしかなかった(笑)相変わらずここでも私はせかせかしてしまった(笑)そういえば、お嫁さんのお色直しのエスコートも妹さんだった。タイミングは全然「今だー!」ではなかったが、これはこれでいい思い出となった。

 

 

終始、兄とお嫁さんが明るい笑顔で幸せそうだった。

 

そうか。結婚とは、私が思っている以上に優しい愛が詰まっているのか。これから色んなことが起きるのかもしれない、けれど二人はもう二人で生きていくのだもんなぁ。

 

そんなことを思った。私はまた一つ学べた気がした。

 

 

家族について、長年色んな感情を抱き、そして向き合いながら生きてきた。

今の私は向き合うべきものがわかっている。自分の人生を歩みたいと思っている。

 

兄の結婚は、家族にとって大きなイベントだった。私にとっては、一つの区切りになったかもしれない。一度、自分のことを考えながら自分の道を歩んでいい気がしている。「親が」という束縛から私は抜けるべきなのである。そしてそれは、兄が自分の幸せを自分で築いている姿を見て、私にも変化があったのだと思う。

 

 

なんだかゆっくりと幸せで、穏やかで、やんわり優しさが溢れた時間を過ごした。

兄よ、末永くお幸せに!!

 

 

 

 

 

CHIHIRO