Chihi’Log

物語の主人公はいつだって自分だ

おばあちゃんとの思い出

 

14歳の夏、おばあちゃんの住む岩手に遊びに行った帰り道。

 

 

新幹線を待つ私におばあちゃんは言う。

 

「欲しい本を買ってあげるから選んできなさい。」

 

なんとなく、空が綺麗に写る「relax blue」という本を手に取った。

 

中身も見ずに、表紙の空が綺麗だったという理由で選んだ。

 

その頃からなぜだか空が好きだった。

 

 

 

新幹線、まだかなぁと思い駅員さんに尋ねる。

 

「え!!あと2分で発車しますよ!!いこう!!」

 

駅員さんに手を引っ張られておばあちゃんにバイバイも言えずに走った。

おばあちゃんにありがとうも言えなかった。

 

なんだかすごく後悔した。

 

 

おばあちゃんは後ろから私を追っかけて来てくれていた。

 

私が新幹線に無事に乗って窓からホームを見てもおばあちゃんはいない。

 

 

小学生の頃から一人で岩手に遊びに行っていた。

 

おばあちゃんは歳をとっているんだな、と新幹線の窓からふと感じた。

 

 

発車してすぐに買ってもらった本を開いた。

 

 

“旅にはハプニングが付きもの“

 

 

そんな言葉を読んで安心した。

 

なんとなく選んだ本。

 

それなのにその頃の心情を救ってくれる言葉たちが沢山綴られていた。

 

 

おばあちゃんに「あれはハプニングだったんだね!」

と後から伝えると笑って聴いてくれた。

 

 

私の眉毛がなくなろうと

明るすぎる髪色で行こうと

短いデニムで田舎道を歩こうと

 

「あなたは都会の子なのね。」

 

と言って笑ってくれた。

 

 

 

 

 

私はおばあちゃんが大好きだ。

 

いつでも帰るところで待ってくれていたおばあちゃんが大好きだ。

 

 

明日の朝はおばあちゃんに電話しよう。

 

 

離れていても、空は、ひとつだ。

 

 

 

 

CHIHIRO