Chihi’Log

物語の主人公はいつだって自分だ

生きろという最期の教え

 

18才、

生きる希望を失った時。

 

 

親戚のおじいちゃんが死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

かき消したい記憶と、

 

当時付き合っていた彼との間で

トラブルが起きた。

 

当時の私は18才。

 

大学受験勉強真っ最中の

夏休みのことだった。

 

家族も巻き込んだ果てに

年上だった彼は私に

「お前を一生許さない」

と言い放って姿を消した。

 

私は、まだ子どもだった。

 

このまま

許されないまま

生きていくなら

今、いなくなろう。

 

涙が枯れたかのように

感情もなく

死と隣り合わせの日々を過ごした。

 

 

親戚のおじいちゃんの死

 

そんな時、

母から

「おじいちゃんが亡くなった。

明日、田舎へ行くよ。」

と言われた。

 

カラスが鳴く、夕暮れだった。

 

深夜バスで田舎へ向かう。

 

着いた日に

お葬式が行われた。

 

 

3歳のいとこが言った。

「おじいちゃん、どこに行くの?」

 

私は答えた。

「お空、じゃないかなぁ。」

 

 

そう言ってその子の手を

ぎゅっと握ったら

それ以上の力で握り返された。

 

子どもでもわかることを

大人たちは説明できず

そして

はぐらかす。

 

徐々に人が集まる。

なぜだか賑やかだった。

 

人が死んだと言うのに。

 

なんで。

この人たちは

笑っていられるんだろう。

 

 

「最後にお花をあげましょうね。」

そう言われ

一輪の花を持った。

 

 

おじいちゃんの最期の顔を見た。

 

 

 

一人、

声をあげて泣いた。

 

 

 

「生きなきゃ。」

 

 

 

おじいちゃんの死に顔を見たら

そう思った。

 

止まらない涙と、

止まらない泣き声と、

死んじゃいけない

と思うこころ。

 

 

死にたくて

此処から逃げたいこころが

それ以上行くな

と押さえつけられたような感覚。

 

みんなが

「最期、綺麗な顔しててよかったよ」

と和やかな中

私は一人

生と死の間にいた。

 

ずっと涙が枯れていたのに

「生きなきゃ。」

と思ったら途端に

涙は止まらなくなった。

 

死んではいけなかった。

 

簡単に「死」を選んではいけない。

私はまだ生きていかなきゃ。

私はまだ

 

 

生きていきたいんだ。

 

 

 

生きていく、そう決めた。

 

つらいことがあったときに

なにを思い浮かべますか。

 

苦しくなったときに

誰を思い浮かべますか。

 

なにを思い出したら

しあわせを噛み締められますか。

 

 

18才、

生きる希望を失っていた私は

死んだおじいちゃんの顔を見て

生きることを選びました。

 

生きた心地を失っていた私に

死んだおじいちゃんは

「生きること」

を教えてくれたんだと思います。

 

 

私はあれから

「生と死」に関して

必要以上に考えなくなりました。

 

一人真夜中に

そんなことを考えるから

どんどんループにハマるのです。

 

 

生きるとはなんだろう。

 

 

考えるけど

見つからないから。

 

今日も、生きた。

明日も、生きて。

 

生きているだけで

充分だと言うことに気がつく。

 

 

たぶん、

誰もが傷つき

誰もが苦しみもがき

その中で

人生を創っているんだろう。

 

 

 

死にたくていい。

死にたいって、言っていい。

でも

その苦しい時間も

あなたは生きている。

 

 

そんな小さいけど

大きな希望を

僅かにこころに残して

私は

生きていくことにした。

 

 

 

CHIHIRO